男性には、ハゲる人とハゲない人がいます。ハゲる人には、どんな共通点があるのでしょうか。ハゲる人の共通点を知ることによって、ハゲを予防することができます。その前にまず、髪の毛が生える仕組みから見ていきましょう。

髪の毛が生える仕組み

髪の毛は、毛根にある毛母細胞が分裂して、長く太く成長します。髪の毛が健康に育つためには、十分な栄養と酸素が必要です。そのため、頭皮の毛細血管が柔軟で、大量の血液を運べることが大切です。髪の毛が生えて抜け、次に生えるまでのサイクルを、「ヘアサイクル」と呼びます。このヘアサイクルには、「成長期」「退行期」「休止期」の3つがあります。

健康な髪の場合、ヘアサイクルの周期は数年にわたりますが、このサイクルが短くなると、抜け毛が多くなります。通常、成長期は2年ほど続きますが、この時期が髪の毛が成長する大切な時期なのです。成長期が長いと、髪の毛は太く丈夫になり、ハリやコシのある髪になります。これとは逆に、成長期が短いと、抜け毛が多く薄毛につながるわけです。

退行期になると、毛母細胞が活動を停止するので、髪の毛はそれ以上成長しなくなります。成長しなくなった髪は、しばらくたつと抜ける準備に入るため、この時期の髪の毛は簡単に抜けるようになります。休止期に入った髪の毛は、自然と抜けていき、毛根は新しい髪の毛を生やす準備に入り、次のヘアサイクルが始まります。

薄毛の原因

すでに解説しましたように、ヘアサイクルのうち、成長期が短いと薄毛になります。成長期が短かくて、すぐに退行期に移ってしまうと、髪の毛は短かく細いままで、髪の成長が止まってしまいます。このように、成長期の短い髪が多いと、抜け毛が増えて薄毛になってしまうのです。

男性の薄毛は、ほとんどの場合、「男性型脱毛症（AGA」と呼ばれる脱毛症によるものです。AGAの原因は、男性ホルモンにあります。髪の毛は、毛乳頭細胞が出すシグナルによって、毛母細胞が分裂して成長します。そのため、毛乳頭細胞が毛母細胞の成長を止めるシグナルを出せば、毛母細胞は活動を停止して退行期に入ります。

これが、成長期が短くなるメカニズムなのですが、ここに関わっているのが男性ホルモンなのです。男性ホルモンの中の「テストステロン」は、男性らしい体を作るために必要なホルモンですが、テストステロンが毛乳頭細胞に運ばれると、「TGF-β」という物質が生成されます。

このTGF-βが、毛母細胞の活動を止めるシグナルを出すために、成長期から退行期に移行して、髪の毛が抜けてしまうのです。男性ホルモンが多いと薄毛になるというのは、こういったメカニズムによるのです。

ハゲる人の共通点

ハゲる人には、いくつかの共通点があります。これから紹介する共通点のうち、いくつか当てはまる人は、早めに髪と頭皮のケアをしましょう。

家族に薄毛の人がいる

薄毛は、遺伝すると言われています。そのため、家族の中に薄毛の人がいると、ハゲる確率が高くなります。両親が薄毛でなくても、祖父母が薄毛だったりハゲていると、薄毛になる可能性が高くなります。薄毛が遺伝するというのは、もっと厳密にいうと、「薄毛になる体質が遺伝する」ということです。

そのため、必ずしも薄毛やハゲになるとは限らないので、髪や頭皮のケアをすることによって、健康で正常な髪を保つことができます。ちなみに、母方に薄毛の人がいると、遺伝する確率が高くなります。薄毛の遺伝子の「アンドロゲンレセプター」は、X染色体にありますが、男性のX染色体は母親から受け継いでいるためです。

頭皮の皮脂が多い

頭皮に分泌する皮脂が多いと、薄毛になりやすくなります。これは、頭皮のフケや皮脂が毛根に入ることによって、髪の毛が育たなくなるからです。また、男性ホルモンが多い人は、頭皮の皮脂の分泌も多い傾向があります。頭皮の皮脂が多い人は、しっかりシャンプーして、洗い流すようにしましょう。

頭皮が硬い

頭皮が硬いと、毛根が十分に育つことができません。また、頭皮の血行も悪くなるため、健康な髪の毛に必要な、栄養や酸素が十分に届かなくなります。頭皮が硬い人は、頭皮をマッサージすることによって柔らかくなります。

喫煙習慣やストレス

タバコに含まれるニコチンは、人体にさまざまな悪影響を与えます。ニコチンには、血行不良を起こしたり、毛細血管を収縮させる作用があるので、毛母細胞に栄養と酸素が行き渡りにくくなります。喫煙は、体にとっても毛髪にとっても、百害あって一利なしですから、なるべく喫煙しないようにしましょう。

また、過度のストレスも、頭皮の環境を悪化させます。ストレスがあると、自律神経がコントロールできなくなり、新陳代謝や頭皮の血行に影響を及ぼします。ストレスは、人体にさまざまな影響を与えるので注意が必要です。

まとめ

ハゲる人には、いくつかの共通点があります。家族に薄毛の人がいるとハゲる確率が高くなり、特に母方に薄毛の人がいると、さらに薄毛の可能性が高まります。また、頭皮の皮脂が多かったり、頭皮が硬い人も、薄毛になりやすいので注意しましょう。喫煙やストレスも、頭皮環境を悪化させる原因となります。